Aurora Design Notes

日本語解説

このページでは、英文パターンの編み方の概要、アレンジのバリエーション、デザインの背景をご紹介します。

Construction

Aurora はトップダウンで編むシームレスなセーターです。ブリオッシュ模様が全体を通して続きますが、模様は表目のみで構成されており、増減目はありません。トップダウンのシームレスセーターを編んだ経験があれば、ブリオッシュが初めてでも問題なく編み進められると思います。

Neck

細い方の針を使い、メインカラーの糸(MC)でリブを編みます。作り目は一般的な指でかける作り目で問題ありませんが、別糸の鎖編みで作り目をすると、最後の伏せ目の加減でネックラインの開き具合を調整できます。

Yoke

ヨークは太い方の針に替えます。最初に MC だけでドイツ式引き返し編み(German Short Rows)をして、前後差をつけます。引き返し編みの部分にもブリオッシュ模様が入りますが、単色で編むので簡単に進められます。

引き返し編みが終わると、2色のブリオッシュ模様が始まります。全体の模様は幅広のストライプに見えますが、メインカラー(MC)とコントラストカラー(CC)を1段ずつ交互に編むので、糸を切る必要はありません。増目はチャートの繰り返しの間にある MC のみのストライプ部分に入れます。この部分はブリオッシュではなく普通の表目・裏目で編むため、模様を乱さずに増目を管理しやすくなっています。

Body

ヨークが編み終わったら、袖の目を休ませて身頃と袖を分けます。脇の下で目を作り目してつなぎ、輪にしてヨークと同じブリオッシュ模様を裾まで続けます。最後に MC でリブを編んで伏せ目します。

Sleeves

休ませておいた目を針に戻し、脇の下から目を拾って輪にします。身頃と同じブリオッシュ模様を編みながら、MC のみのストライプ部分で減目します。最後にリブを編んで伏せ目します。

Techniques

このパターンで使用する技法は Tips 動画で解説しています。初めての技法があれば参考にしてください。

ドイツ式引き返し編み(German Short Rows)

  • MDS / ダブルステッチを作る(表目・裏目)
  • KDS / ダブルステッチを表目で編む
  • PDS / ダブルステッチを裏目で編む

ヨークの増目

  • Kfb / 編み出し増目

ブリオッシュ模様

  • Sl1yo / すべり目+かけ目
  • Brk / ブリオッシュ式表目

脇の下

  • 巻き目の作り目
  • 拾い目

糸のつなぎ方

  • Splice Join / 糸端をフェルト状にしてつなぐ

Variations

段染め糸

Aurora バリエーション - 段染め糸

Aurora の最初の試作品です。CC に段染め糸を使用したため、ストライプ全体にわたって色がグラデーションで変化します。段染め糸はブリオッシュとの相性がとても良く、模様の凹凸が色の移り変わりをより立体的に見せてくれます。

モヘア糸

Aurora バリエーション - モヘア糸

このバージョンでは CC をモヘアと極細糸の2本引き揃えで編んでいます。モヘアの毛羽立ちがブリオッシュ模様を柔らかくなじませ、ふんわりとした優しい雰囲気になります。2本の糸のカラーコンビネーションを変えることで、バリエーションは無限に広がります。

コットン糸・半袖バリエーション

Aurora バリエーション - コットン糸・半袖

コットン糸で袖を短くしたバージョンです。ウールに比べて軽くさらりとした風合いになり、暖かい季節にも活躍します。袖丈の調整はストライプを増減するだけで簡単にできます。

引き揃え糸

Aurora バリエーション - 引き揃え糸

このバージョンの CC は数本の細い糸を引き揃えた糸を使っています。単色に見えますが、光の当たり方によって糸それぞれの表情が出て、さりげない奥行きと複雑さが生まれます。

その他

CC には標準的な中細糸(fingering)100g が1カセ使用するだけなので、お気に入りの手染め糸や、個性的な糸を使う絶好の機会です。ストライプごとに CC の色を変えたり、手持ちの残り糸をつかって遊び心のあるデザインにするのもおすすめです。MC を明るい色にすると、また全く違う印象になります。袖丈も身丈も、ストライプを増減するだけで自由に調整できます。

Behind the Design

Aurora by Kineco Design

パターン名の「Aurora」は、2013年夏にカナダのイエローナイフを訪れた旅に由来しています。

イエローナイフは世界でも有数のオーロラ観測スポットとして知られており、極寒に耐えることなく夏でもオーロラを楽しめるのが魅力の一つです。ティーピーでゆったりと待ちながら観賞できる設備も整っていて、快適な時間を過ごせました。3日間オーロラが見られる夜があり、雲に阻まれてしまった日もありましたが、美しいオーロラを楽しむことができました。ちょうどペルセウス座流星群の時期と重なっていたので、オーロラと一緒に流れ星を見ることができたのも忘れられない体験です。

このセーターの名前は、実はパターンを完成させる前に編んだ試作品がきっかけで生まれました。青から黄色へと変化する段染め糸を使って編んでいたとき、出来上がったものを眺めていると、イエローナイフで撮ったオーロラの写真がふと頭に浮かびました。色の動きが、あの夜空と重なって見えたのです。

完成版のパターンでは、写真の雰囲気を糸で表現しようと考えました。MC のブラックは、写真に映り込む森の木々のシルエットからインスピレーションを得ています。CC には、星のような輝きを持つラメ(Stellina)が入った薄紫の手染め糸を選びました。手染めの自然な色のゆらぎがオーロラの輝きを、Stellina のきらめきが夜空に散らばる星を表しています。写真の空気感がそのままセーターになったような、そんな一着です。プロトタイプとは全く違う配色ですが、どちらもそれぞれの形で、あのオーロラの夜を映し出しているように感じられます。