Gothic Design Notes

日本語解説

このページでは、編み方の解説を中心に、このパターンについての補足をご紹介します。

Construction

Gothic は、ゴシック大聖堂のステンドグラス窓を思わせる華やかなヨークが主役のセーターです。一般的なトップダウンのセーターのように襟もとから編み始めるのではなく、ヨークの中ほどに配置されるブリオッシュ編みのパネルからスタートし、そこを起点として下方向と上方向の両方へ編み広げていくというプロセスで仕上げていきます。ネックラインも着丈も最後に自由に調整することができる、とじはぎのないシームレスな編み方です。

Yoke (Brioche Panel)

まずはデザインの顔となる、ヨーク中央のブリオッシュパネルから編み始めます。別糸を使った鎖編みの仮の作り目をして輪に編み、2色のコントラストカラー(CC1、CC2)を使ったブリオッシュ編みで進めていきます。規則的に配置した増目と減目によって、編み地にはアーチを描くような立体的な模様が次々と現れます。この最初のブリオッシュパートは難しく感じるかもしれませんが、このあとはすべて増減目のない単純なブリオッシュ編みなので、最初のこのパートさえ編み上げれば、あとは問題なくスムーズに進められるはずです。幸いにもスタート直後のセクションなので、万が一やり直すことになってもダメージが少ないのも安心なポイントです。ヨークの広がりを出すための均等な増目はブリオッシュパートの間にあるガーターラインで行います。この増目は、通常の増目とは違い、ブリオッシュの1目(すべり目とかけ目)をそれぞれの目の糸を1本ずつ表目で編む方法で増目します。この増目のラインとブリオッシュ編みのパートを繰り返すことで、大聖堂のステンドグラス窓を思わせる印象的なパネルが形作られていきます。ブリオッシュパネルが編み上がったら、2色のコントラストカラー(CC1、CC2)の糸を切ります。

Lower Yoke

編み上がったブリオッシュパネルの段の始まり(BOR)を後ろ中心から右袖の後ろに移すためにすべり目したあと、メインカラーの糸(MC)を付けて、パネルの下端から身頃に向かう下ヨークを編み進めます。ここではドイツ式引き返し編み(German Short Rows)を使って後ろ側に高さを出し、ネックラインに心地よい前後差が生まれる立体的なシルエットを作っていきます。

Body

袖になる目を一旦ホルダーに休ませ、脇下に新しく巻き目の作り目をして前後の身頃を繋ぎます。ここからはメリヤス編みで裾に向かって輪で真っ直ぐに編み進めます。十分な長さを編み終えたら、ドイツ式引き返し編み(German Short Rows)で後ろ身頃の裾を前側より少し長めに編むことで、後ろ下りの美しく落ち着くシルエットに仕上げます。

Hem

ここからは細い針に替えて裾のセクションへ入ります。裾は通常のゴム編みではなく、全体の雰囲気に合わせたデザイン性のある模様編みになっています。最後はゆるんで広がってしまわないよう加減を意識しながら伏せ目をして仕上げます。

Upper Yoke

最初に編んだブリオッシュパネルの上端へ戻り、残しておいた仮の作り目をほどいて目を針に移します。再び輪に編める状態にしてから、段の編み始め(BOR)を後ろの中心にするため、すべり目をし、メインカラーの糸(MC)をつけて、首もとに向かって上ヨークを編み進めます。規則的に減目を入れて少しずつ目数を整えながら、肩から首もとへとなだらかにつながる丸みを作っていきます。さらにドイツ式引き返し編み(German Short Rows)で後ろ襟ぐりに高さを足し、ネックラインに前後差ができるよう美しく整えます。

Neck

上ヨークが編み上がったら、細い針に替えて襟を編みます。かけ目と2目一度を組み合わせた模様で軽やかなアクセントを添え、最後に伏せ目をしてネックラインをきれいに縁取ります。

Sleeves

休ませておいた袖の目と脇下から拾った目を合わせて輪にし、メインカラー(MC)で袖口に向かって編み進めます。終わりのほうで目を減らして袖をすっきりと絞り込み、袖口へつながる形を整えます。

Cuffs

最後に細い針に替えて、袖口を編みます。裾と同じ模様編みを必要な長さまで編んだら、伏せ目をして全体の完成です。

Variations

2色のショート丈

Gothic - variations

2色のコントラストカラー(CC)のうち、1色をメインカラー(MC)に変更し、丈感をすっきりと仕上げたバージョンです。ブリオッシュパネルの範囲や全体の丈を少し短めに調整することで、標準的な中細糸(fingering)100gをちょうど3カセで編み切ることができます。

コットンの7分袖

Gothic - variations

肌触りの良いコットン糸を使用し、袖丈を軽やかな7分袖にアレンジしたバージョンです。ウールとは異なるさらりとした風合いと絶妙な袖の長さで、季節の変わり目から暖かい季節まで、ロングシーズン心地よく着られる便利な1枚に仕上がります。

その他

Gothic - variations

ブリオッシュパネルのコントラストカラー(CC)に使用する糸は、それほど多くの分量を必要としません。そのため、大切に温めていたお気に入りの手染め糸や、ふわふわとしたモヘアなど、個性的な糸を主役にする絶好の機会です。パネルのパーツごとにコントラストカラー(CC)の色を変えたり、手持ちの余り糸を組み合わせて遊び心のあるデザインに仕上げたりするのもおすすめです。

Behind the Design

Gothic - behind

「Gothic」というパターン名は、ヨーロッパを旅した際に出会った、息をのむほどに美しいゴシック様式の大聖堂のステンドグラスに由来しています。この作品は、手染めの糸を使って初めて自分自身のデザインを形にした、私にとって特別な1枚です。

ヨーロッパを旅行したとき、ドイツのケルン大聖堂やパリのノートルダム大聖堂など、数々の壮麗な建築を訪れました。中でも特に忘れられないのが、パリのサント・シャペルで目にしたステンドグラスです。堂内に一歩足を踏み入れると、壁一面に広がる色鮮やかなガラスから眩い光が降り注ぎ、言葉にできないほどの感動を覚えました。

このセーターは、あの時感じた光と建築の美しさを編み物で表現したくてデザインを始めました。最初に作ったプロトタイプでは、ヨーク部分にアーチ状のブリオッシュパネルを配し、袖にブリオッシュのストライプを入れたデザインでした。しかし、出来上がったものを見つめているうちに、「もっとあのステンドグラスの緻密な縦のラインを表現できるはず」と思うようになったのです。そこで、より大聖堂のステンドグラスの雰囲気に近づけるため、アーチだけでなく、ヨークの全面に美しく伸びるブリオッシュのストライプを追加しました。

手染め糸が持つ特有の色のゆらぎが、ステンドグラスの一枚一枚のガラスが放つ複雑な光のきらめきを、そして立体的なブリオッシュ編みのストライプが、大聖堂を支える厳かな柱や窓枠のラインを思わせます。あの旅で見た、光溢れる美しい記憶がそのままセーターに溶け込んだような、そんな一着に仕上がりました。

作品写真と作品例

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