Hatsuyukikazura Design Notes

日本語解説

このページでは、編み方の解説を中心に、このパターンについての補足をご紹介します。

Construction

Hatsuyukikazura は、一般的なボトムアップやトップダウンのセーターとは異なり、袖口からスタートして身頃の中心に向かって横方向に往復編みで進め、最後に左右のパーツを中央で繋ぎ合わせるという少しユニークなプロセスで編み進めます。全体はシンプルな裏メリヤスの編み地ですが、袖から肩へと続く立体的なケーブル編みと、センターを貫くラインがデザインを美しく引き締めています。

Cuff

まずは袖口から編み始めます。一般的な指でかける作り目をし、往復編みでねじりゴム編みを編んでいきます。この袖口のセクションからすでに、中央に配置される印象的なケーブル編みのベースがスタートします。この模様編みは最初は複雑に思えるかもしれませんが、7目で構成されるひとつの交差編みを覚えてしまえば、その交差編みを規則的に左右へ配置しているだけの模様なので、コツを掴めば簡単に編み進めることができます。

Sleeve

ここから編み地を裏メリヤス編みに切り替えます。最初の段で均等に増目したあと、中央の模様編みを継続しながら袖口から身頃に向かって袖部分を編み進めます。模様の両端で規則的に増目を繰り返すことで、袖口から身頃に向かって自然に広がるきれいなシルエットが形作られていきます。

Body

袖が十分に編み上がったら、これまで編んできた袖の両端に、別糸の鎖編みを使った方法で前身頃と後身頃のための大きな作り目を新たに追加します。ここからは、追加した前後の身頃と中央の袖部分をすべて繋げた状態で、さらに中央の模様編みと増目を続けながら一気に往復編みで編み進めていきます。なお、ここまでの工程は左右のパーツをまったく同じ手順で行います。

Right Body / Left Body

襟ぐりの手前まで身頃が編み終わったら、肩から続いていた模様の部分を伏目で終了し、2つに分離した前身頃と後身頃をそれぞれのパーツごとに裏メリヤスで独立して編み進めます。 前身頃側では、Vネックラインを形成するために、端で規則的に減目を行っていきます。この浅めのVネックラインは、肩に入っていた模様から途切れることなく美しく繋がるデザインになっています。一方の後身頃側では、襟ぐりになる端に滑り目を取り入れながら、直線的に編み進めます。端に滑り目を入れることで、模様から美しくつながる立体的なラインが形成され、着用時に襟ぐりがだれるのを防いでぐっと引き締めてくれます。この分離のプロセスを左右対称に行い、右身頃と左身頃のパーツをそれぞれ仕上げます。

Join

編み上がった左右の前身頃同士、そして後身頃同士をそれぞれ対面させ、体の中心で繋ぎ合わせます。ここでは、引き抜きなどの一般的なはぎ方ではなく、コード状の立体的なラインが浮き出るIコードつなぎ(I-cord Join)という技法を使用します。センターに真っ直ぐ浮き出るこのラインが、デザインに洗練されたアクセントを加えてくれます。前後の中央が繋がったら、残された袖の下側をとじ針を使ってすくいとじし、身頃のサイドは裏側から3本の針を使った伏せ目、あるいは一般的な引き抜きはぎでしっかりと繋ぎ合わせます。

Hem

すべてのパーツが立体的に組み上がったら、最後に全体のシルエットを整える裾のセクションへと入ります。サイドのシームラインから新しく糸をつけ、裾の縁からぐるりと均等に目を拾い出して輪編みを始めます。身頃の裏メリヤス編みから、すっきりと美しいねじりゴム編みを必要な長さまで編み進めていきます。最後は、裾がたるんで広がってしまわないように、少しきつめの加減を意識しながら裏目で伏せ目をして完成となります。

Variations

複数カラーのグラデーション

Hatsuyukikazura - variations

複数のカラーを贅沢に使い、左右対称の美しいグラデーションを表現したバージョンです。色を切り替える前後に1段おきのストライプを挟むことで、境界線が自然に馴染み、滑らかな色の移り変わりを楽しめます。

手染めソリッドカラー

Hatsuyukikazura - variations

手染めならではの奥行きがある、単色の糸を使用したバージョンです。このパターン特有の横編みの構造により、手染め特有のかすかな色ムラが、裏メリヤス編みの編み地に美しい縦のラインとなって現れます。シンプルでありながら、非常に表情豊かな1着に仕上がります。

機械染めソックヤーン

Hatsuyukikazura - variations

均一に染められた機械染めのソックヤーンを使用したバージョンです。手染めのようなムラ感が出ないため、編み地の美しさとパターンのシルエットが引き立ち、全体的にシンプルでスッキリとした洗練された印象に仕上がります。

コットンの半袖

Hatsuyukikazura - variations

コットン糸を使用して、軽やかに仕立てた半袖バージョンです。このパターンは袖口から編み始める構造のため、編み始めの位置を調整するだけで、お好みのすっきりとした袖丈にアレンジできます。

その他

袖口から編み進めるデザインなので、スタート位置を変えれば、長袖から半袖まで袖丈を調整できます。コットンやリネンなど夏糸を使って、半袖にすれば気軽に着れるTシャツのような仕上がりに。左右のパーツや裾のカラーを大胆に変えてみたり、手元に残っている余り糸を組み合わせて自分だけのグラデーションを作ったりするのも素敵です。また、前後のセンターを走るIコードのラインだけにアクセントカラーを入れてみるなど、遊び心あふれるカスタマイズの可能性は無限大です。

Behind the Design

Hatsuyukikazura - behind

「Hatsuyukikazura(初雪蔓)」は、ある美しい日本の手染め糸との出会いと、友人との何気ない会話から生まれました。この作品は、私が初めて編み物パターンとして書き起こした、とても思い入れの深いデザインです。

このパターンを作っていた2018年頃、日本ではまだ国内のダイヤーさんによる手染め糸はめずらしく、私自身も海外からの輸入糸を購入することがほとんどでした。そんな中、初めて購入した日本のダイヤーさんの糸が「Lemon Jelly Pool」さんのものでした。手元に届いた3カセの糸は、緑ベースの「rikyu 利休」、ピンクベースの「peach hills cake」、そして白ベースの「fig」。鮮やかな段染めの糸や、ポツポツとした粒が可愛いスペックルの糸など、どれも個性の異なる本当に美しい糸でした。この魅力的な3カセをどうしても形にしたくて、それらの糸のためにデザインしたのが、このプルオーバーです。

編み上がった完成品をニッターの友人に見せたとき、ある素敵な言葉をもらいました。「段染めとスペックルが組み合わさって、白からピンク、そして緑へと移り変わっていく色合いが、まるでハツユキカズラみたいだね」と言われたのです。その言葉を聞いた瞬間、「確かに!」と深く納得し、このプルオーバーを「ハツユキカズラ」と名付けることに決めました。植物のハツユキカズラが持つ、新葉のピンクと白、そして次第に緑へと変化していく美しいグラデーションが、手染め糸それぞれの豊かな色彩と見事に重なった瞬間でした。

こうして誕生した、私にとって最初の日本語の文章パターン。この原点となるデザインをもとに、ネックラインのラインやサイズなど丁寧に改良を重ねたのが、英文パターンの「Hatsuyukikazura」です。

英文パターンでは、シンプルな手順になるよう糸の色を変えずに編む仕様にしていますが、もとのパターンのように、お気に入りの複数の色の糸を使ってグラデーションを楽しむ編み方もとてもおすすめです。お好みの糸たちを組み合わせて、あなただけの特別な一着をぜひ形にしてみてください。

作品写真と作品例

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